チラシの裏に書く寝言

強引に こねてまとめて とりあえず焼いた

観劇日記

星の降る時 ー5月17日の客席より

暗闇の中で激しく飜る鮮やかなドレス。躍り狂う彼女たちを見ながらなぜか心臓をめちゃくちゃに握りつぶされる苦しさを感じて、明らかに近づく終幕の足音を無視してまだ終わらせないでくれと願うばかりだった。 けれどそんな事が叶うはずもなく、ぽーんと一人…

泥人魚 ー2024年5月24日の客席より

スマホの地図を頼りにうろうろと彷徨い、無駄に遠回りして鬼子母神神社へ辿り着いたのは開場の少し前。 お祭りでも初詣でもないこの時期の神社のイメージには不釣り合いなほどの人出。それなのにぼんやりと佇んだり座ったりしながら境内に散らばる先客達はど…

白衛軍 The White Guard ー2024年12月11日の客席より

座って観劇しているだけなのにゴッソリと体力を持っていかれる感覚は久々だった。 複雑な勢力争いを扱った、複雑な横文字の名前がたくさん出てくる重たそうなロシア文学…!ちょっと難しいかもと覚悟していたけれど、ちょうど頭のなかで状況が絡まりそうにな…

ストーリー・オブ・マイ・ライフ 田代/平方ペア ー2021年12月19日の客席より

あってよかった大量のメモ。3年前の記憶を掘り起こしてお届けしています② 前日に観劇した太田・牧島ペアの、ふるえる温かい気持ちを両手でそっと掬い上げるような儚い印象とは打って変わって、田代・平方ペアは気持ちがしぼんでいるときにあえて崖から突き落…

ストーリー・オブ・マイ・ライフ 太田/牧島ペア ー2021年12月18日の客席より

あってよかった大量のメモ。3年前の記憶を掘り起こしてお届けしています① まずは、観ておいた方が良いよと各所でオススメされていた“素晴らしき哉、人生!”を視聴。古き良き時代の価値観の非常に夢のあるお話で、そんな映画が大事なキーになっているこの作品…

空中ブランコのりのキキ ー8月12日の客席より

何度も手にとったことは記憶にこびりついているのに、タイトルすらもおぼろげな、幼い頃に読んだ絵本の数々。その少し厚いページをめくる感覚。 そういったものが思い起こされて寂しさと懐かしさがきゅっと湧き上がるような作品だった。 公演時期やチケット…

朝日のような夕日をつれて2024 ー8月31日の客席より

まったくの初見で、最初はタイトルに大きく2024とつけられているのが不思議だった。 再演ものなのは知っていたけれど、戯曲が多少改訂されたとしてもまさか全体の印象まで大きく変わることはないと思っていたので、わざわざ上演年を記載するなんて几帳面だな…

ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル ー8月1日の客席より

真紅の垂れ幕に瞬く電飾と、妖しげに照らされたゾウやオモチャのようなフォルムでくるくる回る風車。 去年、Twitterでそれらの蠱惑的な光景が大量に流れてきた時には衝撃だった。誰だって一度ぐらいこういう光景に憧れたことがあると思うし、私もそう。これ…

だからビリーは東京で ー2022年1月21日の客席より

大体は当時のメモ。それから朧げな記憶を頼りにした感想。 “ビリー・エリオットに憧れて演劇の世界に飛び込んだ青年と、ある劇団の物語”を軽妙な会話で描いた作品。 だけど、皆が認めるわかりやすい特別なんて簡単になれるはずもなく、その焦燥感や足元がぐ…

パラダイス ー2022年10月30日の客席より

どうにか確保できたのはコクーンシートの後方。覚悟はしていたけれど舞台下手⅓強が隠れる席でした。それでも重要な場面はちゃんと見えていた...と思います。 終始漂う鬱屈とした空気と、今私が生きる現実をまざまざと思い起こさせるような身近で生々しい台詞…

スリル・ミー 木村/前田ペア ー2023年9月10日の客席より

(私)木村達成×(彼)前田公輝 ピアニスト:落合崇史 2021年の公演も劇場や配信で観劇しているので、私にとっては4組目のペアです。 まずはそのカラッとした空気感にびっくり。内容の陰惨さが変わるわけではないですが、どことなくスポーツ系の青春物のような爽…

ある馬の物語 ー2023年7月1日の客席より

観劇直後に書いたと思われるメモのライブ感がいい感じだったので、だいたいそのまま載せました 劇場に入った瞬間、まだセット建設中なんです!とでも言い出しそうな光景が広がっていてギョッとした。 高く組まれた鉄骨の足場や、所々に張られたビニール、資…

ラビット・ホール ー2023年4月22日の客席より

よく手入れされた芝生に、午後の日差しを浴びながらさらさらと降り注ぐ天気雨。 そんな情景が、この作品を観たあとに浮かんできました。 悲劇はすでに起こってしまった後。交通事故で幼い息子を失った夫婦、妻の妹と母親、それから加害者の学生、それぞれが…

スウィーニー・トッド ー3月23日の客席より

観終わったあと、なんだかすごく悪趣味なものを観てしまったな…と少し具合が悪くなってしまいました。 スプラッターやカニバリズム耐性はそれなりにある方だと思うし、自分が犠牲になった事すら気づかないくらいのスピード感で事切れる人が多く「お!あんま…

ねじまき鳥クロニクル ー11月11日と21日の客席より

元々一度きりの観劇の予定でしたが、終演後には「今すぐにでもまたあの世界にどっぷりと浸かりたい!」という思いが止まらなくなり急遽予定をこじ開けチケットを追加しました。 浮遊感溢れる身体表現と美しくも躍動的な音楽、精巧な仕掛け絵本にありったけの…

桜の園 ー8月19日の客席より

演出に関して好意的ではない感想を多く述べています。 それでも大丈夫だよ!という方のみご覧いただければ幸いです。 全体を通して面白いとかつまらないとか出来がどうとかを語る以前に、とにかく自分とは合わない作品だと感じました。 普段出先で一人でお酒…

スリル・ミー 松岡/山崎ペア ー9月18日の客席より

(私)松岡広大×(彼)山崎大輝 ピアニスト:篠塚祐伴 2021年には配信でしか観ることの出来なかったヤマコーペアの、念願の生観劇。 ですが2年前とは全く違う印象で、瑞々しいスピード感を残しつつも成熟した空気が加わり、より重苦しい後味を残す二人になってい…

ドリームガールズ ー2月11日の客席より

ドリームガールズ…曲はなんとなく聞いたことがある気がするけど…3人組の黒人の女の子のコーラスグループで…ぐらいの知識で、当然BW版も映画版も観たことがなく、実話が元になってるという事すら今回はじめて知ったような人間が書いた感想です。 とにかくずっ…

チェーザレ 破壊の創造者 ー1月21日の客席より

1月21日 ヴェルデチームの回です 個人的な事なのですがわたくし大きな劇場でミュージカルを観るのが1年以上ぶりでして、そんな干乾びた状態で挑んだチェーザレは、一目でこだわりの感じられる豪華な衣装!これでもかと回転する盆!!一人でも有り難い歌上手…

ともだちが来た ー11月4日と7日の自室より

まだまだ1年以上前に観た演目の感想が続きます。 その場の空気を感じながら観るのと、決められたカメラワークで画面越しに観るのとではどうしても受け取るものが違ってくると思っていて、今まで一度も劇場で観ていない演目について配信の視聴のみで感想をま…

森 フォレ ー7月11日と24日の客席より

もうこの作品も観劇した日から1年経ってしまったのですが、未だに自分の気持ちにどう折り合いをつけたらいいか判断しかねているんですよね。 演劇作品としての出来は素晴らしかったと思うのに、そう感じた事実をどうにも肯定しきれない引っかがりがずっと残…

スリル・ミー 田代/新納ペア ー5月30日の自室より

未だ2021年の5月30日に取り残されている人間の寝言。 実は、にろまりペアの配信は観るかどうかかなり迷いました。 「これは愛の話だ。愛に呑まれてしまった男の話だ。」と劇場で観た時に不思議なほどストンと腑に落ちて、わたしの中でこの二人のスリルミーが…

スリル・ミー 成河/福士ペア ー5月29日の自室より

半年間煮詰めて原形のなくなりかけた感想。 はいっ!スリルミー配信耐久レース2本目!!成福ペア!! 既に1本目のヤマコーペアで集中し過ぎて頭痛がしていましたが、これはアーカイブ無しの一発勝負、弱っている暇などないのです。 余韻に浸るのもそこそこに…

スリル・ミー 松岡/山崎ペア ー5月29日の自室より

半年前の記憶を、できるかぎり直送で。 宣伝ビジュアルからでもそのフレッシュさがバシバシ伝わる、ピッカピカの新ペア ヤマコー。全く未知の存在にどういうペアなのだろうと思いを馳せつつ、どうしても都合がつけられなかった後悔を抱えてベコベコに凹んで…

スリル・ミー 田代/新納ペア ー4月22日の客席より

半年前の記憶とメモとTwitterを遡ってできるだけほやほやな気持ちで書き起した感想。 人生2回目のスリルミー。1度目はついこの前観劇したばかりで、記憶に新しい訳です。 つまり、内容を把握しているので初回のような衝撃は無いはずなんです。 無いはず…だっ…

スリル・ミー 成河/福士ペア ー4月11日の客席より

難しいこと考えるの苦手!!感想なんて頭のいい人が書くもの!!!わたしには関係ない!!!! そんな風にゆるゆると観劇ライフを送っていたわたしが、この気持ちを何かちゃんとした言葉として残さないともったいない……!と思う程の衝撃を受け早半年。 今だ…